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2009年03月31日

張り替え職人の技術






 
 前回の買い付けでこんな椅子を買ってきました。

どうでしょう?1950年代のモダンではなく、もう少し前。。。。

アンティークの部類にも入らない、とても面白い椅子。

見る限り、その手の込んだつくりがその美しさと、手作り感が醸し出す温かみを感じさせます。昔の椅子の魅力を振り撒いていますが、いかんせん、、、、それこそ「座り倒され」生地もぼろぼろ、かなり汚いです。

でも、私はこの椅子を逃しません。
 やはり良いものでした。

こういった古い椅子の中身は、現在生産されている椅子と違い、シート内部にはヤシの繊維、獣毛などの天然素材が詰め込まれている場合が多いです。「このような素材のものだから良い!」ということではないですが、ウレタン材の物と比べて、まったく違うすわり心地になり、出来上がりを想像するだけでわくわくしてきます。

これら素材は一度取り出し、再度、形を作りながら詰めていくという、とても難しく、熟練の技術が必要な作業になってきます。


 


 
 さらに座面下にはバネが。。。。。

バネの調整・組たてなど、素材の詰め替え同様非常に難易度の高い技術を必要とします。

ばねの位置を固定する紐も縦横無尽に張り巡らされます。
 内部を見てください!

シート下バネ全体をまとめる役割をしているフレームにバネをひもでくくりつけています。

その結び目自体、芸術的!

美しい仕事です。
 

 

 シート部分にも同様にヤシの繊維や藁や、なんやらいろいろ入っています。それを形創り、その素材が出来上がり後も偏らないよう、部分部分にある程度ひもで固定させています。

また、シート周囲に「土手を作る」という作業。繊維やらわらなどを「ただ積んでいく」のではなく「角を出す」作業です。

溜息ものの仕事ですよ。
 張り地は日本製です。

海外のやたら高い生地を張るのをよく見ますが、世界に誇る日本繊維業界。私は技術的・品質的に劣るものとは考えません。同じような生地で商品単価だけをアップさせるよりは、まったくリーズナブルです。

それにしても、素晴らしいすわり心地。好みによりますが、がっしりとした素材の感触が、体全体をサポートしているような感覚です。

あの椅子が、このように生まれ変わった姿を見ますと感激ですが、職人さん有りきの買い付けです。こういったレベルの高い仕事に囲まれると、私の未熟さが浮き出てきますが、日々勉強。仕事に対する姿勢も見習わなければいけませんね。

この椅子はまた商品ページで紹介いたします。
 

2009年03月22日

買付報告 デンマーク編






デンマークでも怒涛の買い付けはさらに続きます。

数日はよい天気の日もありましたが、基本的にはこのようなはっきりとしないデンマーク特有の冬の天気。

特に初日、大事な商談の日に雨。。。。彼との商談の日だけは毎回「晴れてくれ!」と願ってやみません。なぜなら、20坪、ほぼ私のお店と同じくらいのスペースにゆうにコンテナ20F満タン分の家具をそろえています。

晴れの日であれば、その一部を外に出しておいてくれて、ある程度見やすいです。ただ、雨の日などはその大量の家具がすべて20坪に収められている!

運を天に、ディーラーを信じ、チラ見で想像するしことなどできませんから、その家具の山を掘り進んでいくのです。 

フィンランド編でも触れましたが、「不況の時ほど買いどき。」なんでしょうか。素晴らしい収穫です!

かなりマニアックな蒐集ですが、ローズウッド中心の良い家具たちが4月末位に日本に到着予定。

中でも驚いたのが、フィンユールのディプロマットチェアーローズウッドの物が22台!それに対応するテーブル7台。フィンユールのデスク2台、POUL HUNDEVAD社のキャビネット数台にNIPU社のキャビネット、すべてローズウッド、、、、どうも、会社クローズでそろえていた家具一切合財引取ってきたとの事。

その他、下記写真に少々ご紹介しておりますが、ローズウッドの椅子だけで100台弱入荷します。。。。ホームページを見ていただいてもお分かりのように、まだまだ他にも椅子はたくさん残っているんです。。。。でも、「あぁ、こんなにたくさん買えるのは、今回だけかもなぁ。。。」と思うと、買っとかない訳にはいかないですし、何といっても、自分は本当に椅子が好きなんだなあと思います。





 





 現地でお世話になったりすることが多いので、その次に会う時には何か、「日本らしい」お土産を、と、いつも悩みます。デンマーク家具ディーラー連中は「酒好き」が多いので、何度か日本酒を持っていたこともあるのですが、これも好みで、なかなかその「独特」の臭みというか、匂いになれない人も多いです。

彼らディーラー連中にもう一つの共通点と言えば「たばこ好き」!お世話になっているディーラーは葉巻やパイプをくゆらす、いわゆるデンマーク版数寄者。「じゃぁ、日本のたばこは?」と思い、移転する前のお店の近くの「谷川清次郎商店」のキセルをと、早速訪問。

もうひと眼見た瞬間、その美しいフォルムと素材感、手作りの温かさに一目ぼれ!
 いつもパイプをくゆらす彼ですが、パイプの様に長持ちするものではなく、1分弱の「至福の時」に、「もう少し吸う練習をして、コツをつかんでみるよ!」と、喜んでくれたよう。

私自身たばこは吸わないですし、子供もいますから、そういった場所で、他人がたばこを吸うのはあまりよい気分では無いのが正直なところ。

ただ、かれの普段パイプをくゆらす姿を見ていると、「かっこいいなあ」なんて思います。キセルを買い求めたときに、お店の方に説明を聞いた際にも、感じましたが、キセルを吸うこと自体1分も持たない、まさに、一服。物思いにふけるのに、おもむろに煙草をつめて、2-3吸い。で一服終わり。猫も杓子も「禁煙」ムードですが、こんな「粋」を楽しみ、日本の文化として残すのも重要なような気がします。

キセルは「喜世留」と書くらしいです。「喜びを世に留める。。。。」

胴の部分に使う竹管が喜世留屋さんには、まだ、たくさんありましたが、もう「あるだけ」らしいです。これを作る職人さんがいなくなってしまったのです。

日本が滅んでいきます。。。


 

2009年03月04日

買付報告 ストックホルム編







 
 

ストックホルムでも怒涛の買い付けは続きます。

まず大きなマーケットへ。その後市内のディーラーたちを訪問。ユーロ安とさらなるクローネ安で今回は予算内で収まるかと余裕の買い付けと思っていたのもつかの間、有名なコレクター放出品と出会ってしまい、敢え無くおなじみの予算オーバーワールドへ突入。

スウェーデンの美しいガラスにも魂を抜かれ、更にその上乗せ(涙)。皆様がお店に来ていただいたときの笑顔が唯一の救いです(笑)。

 以前からの(日本だけ)北欧食器ブームの中心となっていたプリントものに少し疑問を持ち、今回は手作り感あふれる、やさしい趣きの手書きのカップアンドソーサーに注目して集めてきました。

やはり手書きとなると個人的にはGEFLEのものが印象強いですが、その他おなじみのロールストランドやグスタヴスベリのものも沢山有ります。



 
 

 もちろん、人気のプリント系、スティグのカップアンドソーサーも、ババーンと「どうだ!」といわんばかりに集めてまいりました(笑)。

収穫はヤフーフォト"こちら"にて



 滞在中にスウェーデンの御姫様の結婚が決まったようです。

お相手はスポーツジム経営のナイスガイ!正直何言っているのかわかりませんが、みな、老若男女一様にどこか、自分の親戚か友達が結婚したかのようなコメントぶり。

デンマーク王室もそうですが、開かれた皇室として一般市民にとても近い存在なんでしょうね。とても微笑ましいです。

現地ニュース番組でもこの話題をもちろん取り上げますが、数分間の特集くらいで、日本のメディアのように「どのチャンネルまわしても同じ話題」ということはありません。

 

 

 

予想通りストックホルムでは、セムランの大行進!

でも、食べませんでした。フィンランドで食べたし、言う程「食べたい」というおいしい物でもないんです。。。。

ただ、以前も紹介したこのセムランのお店は内装がとても美しく、入る価値ありです。

 意気込んでいきますと、何と改装しているではないですか!

しかも、ものすごいチープな感じ!ありがちのデザイン系なのか?

あの美しい内装をこうしてしまう、センスがわかりません。(古かったからしょうがないのかな?)

何とも残念な改装で、たぶん2度と来ないでしょう。

 


2009年03月02日

買付報告ヘルシンキ編







 
 今回もおなじみの11泊12日(うち一泊機内泊)の強行スケジュール。

2月2日に子供が生まれたばかりですが、やはり商品補充は必要不可欠。奥さまに恐る恐る買い付けのことを相談しますと、「さっさと戻って来い!」との指令。早く愛しき家族のもとへ帰るため、バシッとスケジュールを設定し無駄のないように買い付けスケジュールを組むのです!

余談ですが初めて私が海外へ出た時には(もう20年近くも前になります)、ないものはすべて海外でそろえるというのが、自分の中で定石になっており、海外にはカッコいいものはあるし、しかも日本より安かったものです。いまではどうでしょう。デフレという流れの中、しかも北欧という物価の高い(!)国々を回るのに忘れ物は禁物です。以前プチプチを航空会社になくされた時、ストックホルムで必要なプチプチをそろえた時には、日本円にして2万円かかったのにはびっくりです。
 どうですか!

いまや関西空港には、「100円ショップ」と「ユニクロ」という何とも頼もしい存在が、私たちの旅をバックアップ!この国はこれでもか!というくらい便利になってきます。

もちろん空港にはトランクも売っていますから、手ぶらで空港に行ってもほぼ最安値ですべてがそろう、何とも素晴らしい世の中になったものです。日本万歳!

(今の世の中、政治家(屋)だけが進化どころか退化しています。馬鹿ばかりです。)



 
 

 ヘルシンキまで9時間のフライト。ヨーロッパへ最短で行けるフィンエアーは本当に楽ちんです。(つまらない映画を3本見たら到着です。このつまらない映画のグレードアップと、まずい飯をどうにかしてほしいです。)ヘルシンキはマイナス4度ほど。余裕です!先週に来ていたらマイナス10度超えを体験できたのですが、、、

この時期、若干はやめに到着することが多いようです。今回も早めの到着と見るや、バスで早速市内へ。ホテルチェックイン後、ディーラーに即電話。

間に合いそう!トラムを乗り継いで初日怒涛の買い付け。腰が抜けるほどの収穫に初日2時間で3分の2の予算を使い果たす。

 その夜には別のディーラーと商談兼、夕食。ティモ鍋で4時間煮込んだカレリアシチュー。

 

 

 

と、でました!セムラン!懐かしの。。。。

フィンランドでも食べるらしいです。

 驚きの収穫は続き、結局、カンタレッリ・ヤッカラ最大サイズ、タッティ、ビージェネ初入荷クレムリンベル。ヴオッコ・ヌルメスニエミの50Sプリント生地などレアものが続々と!何回「これを買ったら予算オーバーやで。」という天からの声と、「こんな不況の時こそ買い時だ!」というどこかのお客様からの声が混ざり合って何回となく頭を抱えたことか!どちらの声が勝ったかは、またお店にきて買い付け商品を見ていただき、想像してくださいね(涙)。

収穫はヤフーフォト"こちら"にて